お江戸歴史散策

幸せを願う【一石橋】のたもとにある迷子のお知らせ石標とは?

アイキャッチ_一石橋の役割 お江戸歴史散策

江戸時代の江戸の橋について

江戸時代は、江戸の八百八町、京都の八百八寺、浪華なにわの八百八橋といわれ、大阪(浪華)が水の都といわれていましたが、大阪(浪華)には、当時、約200橋しかありませんでした。

江戸には、約350の橋がかかっていました。

徳川家康が江戸に入府し、交通整備した真の水の都である江戸は、その都市整備の中で、運河に数多くの木造の橋を架けました。

日本橋の説明

日本橋は、江戸時代から現在まで、日本のもっとも有名な橋ですが、その起源は、『この橋、江戸の中央にて諸国の行程も、ここより定められるゆえ、日本橋の名ありという』と記されました。

この橋を五街道(東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道)の起点として、道路交通を発展させていこうとする理念が明確に記されたものであります。

現在の日本橋のたもとには、『日本国道路元標』『東京市道路元標』の石碑が建っています。

現在の日本橋は、1911年(明治44年)に架橋された石造りのアーチ橋で、19代目にあたります。

また、見事な親柱の獅子や麒麟の彫刻も素晴らしく、重要文化財の指定も受けているものです。

柱に掲げられた、『にほんはし』の文字は、徳川15代将軍:徳川慶喜の筆によるものです。

一石橋について

東京駅日本橋口から外堀通りを北へ10分ほど歩くと、日本橋川にかかる一石橋があります。
一石橋は江戸城(東京駅)から日本橋にかけての当時(江戸時代後半)は盛り場であった為、一石橋付近では、多くの迷子が発生していました。
当時は、迷子が出た場合、町内が責任をもって保護することになっていました。
そこでこの一石橋の橋詰めに迷子探しの為の告知の石碑が建立されました。

同じく日本橋川にかかる有名な日本橋に比較しても、一石橋はなんということもない橋ですが、江戸時代初期からある橋で、橋の由来は幕府の旗本役人の「後藤家」と呉服商の「後藤家」の2軒の「後藤家」が、橋のたもとにあったので、2つの後藤家、「五斗」「五斗」合わせて「一石」と名付けられたと言います。(五斗+五斗=一石)

一石橋のたもとには、「迷子知らせ石標」が建っています。

「迷子知らせ石標」の正面には「満よひ子まいごるべ」と彫られています。

「迷子知らせ石標」の左側には「たづぬる方」の文字が彫られていて、迷子の親が迷子になった子供の特徴を描いたものを貼り紙する掲示板です。

「迷子知らせ石標」の右側には「志らする方」の文字が彫られていて、迷子に心当たりのある人が、迷子の親たちに向けて知らせる、貼り紙をする掲示板です。

アクセス所在地:東京都中央区日本橋本石町1丁目1−2

ドラマ主題歌の歌詞に出てくる一石橋

昭和40年代後半から50年代にかけて日本テレビ系列で放送された人気時代劇ドラマ・萬屋錦之介主演「子連れ狼」の第一部主題歌、第二部主題歌「ててご橋」の歌詞にこの一石橋が出てきます。

ててご橋
  • 迷子になったらどこで待つ?父御ててご母御ははごをどこで待つ?父御と母御とゴトゴトと一石橋で待てばよい

(大意は)もしもあなたが迷子になったら、お父さんとお母さんをどこで待てば良いのかを伝えておきますね。
お父さんとお母さんとあなたの乗るベビーカー(ゴト車)をこの一石橋で待っていれば大丈夫ですよ。
必ず迎えに行くからあわてずに待つように。

とさとす子守歌の様な歌で、親子で旅を続ける本作のどこかもの悲しくニヒルなかつ親子の情愛にあふれたイメージにぴったりの主題歌で、歌手のバーブ佐竹の歌声ともマッチしてじわりと心が震えます。

あまじん
あまじん

このドラマをご存じで、私のように時代劇ドラマファンというかたは、この歌詞から江戸時代は、一石橋が迷子になった時の「待ち合わせ場所」ということを知っていたかたも多いのではないでしょうか。

ちなみに「子連れ狼」の第三部の主題歌は橋幸夫の歌う「しとしとぴっちゃん」から始まる歌も有名ですが「一石橋」は歌詞には出てきません。

現代の迷子事情

現代においての迷子事情は幼子ではなく、高齢者の行方不明のほうが統計的には多数発生しているようです。
ですから迷子事情というより行方不明者事情というほうが正しいでしょうか?

実際に集合住宅に住んでいる知り合いから聞いた話ですが、玄関のカギを閉め忘れた時があり、
「ご近所で見たことのある高齢者が我が家で寝ている」と家族に起こされ、大変な騒ぎになったそうです。

一石橋のある中央区では地域支援課にて行方不明高齢者捜索ネットワークという仕組みを開始しました。
行方が分からなくなった高齢者の情報をメールで受け取り、特徴が似た高齢者を見かけたら気にかけて、メールで連絡する協力者をポスター募集しています。

開運先生
開運先生

まさにこれは「江戸時代の人々の知恵を使った」一石橋の「満よひ子まいごるべ」の現代版といえますね。